電気通信事業の登録・届出が必要な事業及びサービス内容とは?

電気通信事業登録、または電気通信事業届出が必要な事業及びサービスの内容は、以下の通りです。

【電気通信事業登録が必要な事業】

①他⼈の通信用のため他⼈の通信を媒介し、自ら端末系の伝送路設備を一市町村の区域を超えて設置して行う電気通信事業

 「媒介」とは、他人の間に立って、他人を当事者とする法律行為の成立に尽力する事実行為のことをいいます。

 電気通信事業法では、電気通信事業者と利用者との間の電気通信役務の提供に関する契約成立に尽力する事実行為が該当します。

 端末系の伝送路設備とは、次のようなものを指します。

 ・配線設備や電話機、そのコードなどの端末機器

 ・固定端末系伝送路設備(電話線・光ファイバーなどの伝送路設備の一端が特定の場所に設置される、利用者の電気通信設備(携帯電話など)に接続される伝送路設備(加入者回線))

 

②他⼈の通信用のため他⼈の通信を媒介し、自ら中継系の伝送路設備を一都道府県の区域を超えて設置して行う電気通信事業

 中継系の伝送路設備とは、端末系の伝送路設備以外のもののことを指します。たとえば、電柱や電線などの設置や光ファイバーケーブルの設置などです。

 

③他⼈の通信用のため他⼈の通信を媒介し、電波法規定の基幹放送に加え、基幹放送以外の無線通信を送信する無線局の無線設備(①②を除く)を、自ら設置して行う電気通信事業

 基幹放送とは、放送する無線局に専ら、または優先的に割り当てるものと電波法で定められた周波数を用いる放送のことを指します。

 具体的には、NHK、放送大学による放送、民放テレビ、東経110度衛星放送、FM・中波・短波のラジオ放送、マルチメディア放送です。

 ちなみに、基幹放送について同時再放送のみを行う場合は、放送法に定める「小規模施設特定有線一般放送の届出」が必要となります。

 

上記①~③は、すべて「自ら設置して行う」場合に限ります。

つまり、自ら電気通信設備を所有するか、または電気通信設備の所有者と「IRU契約」を結んで行う場合などに、電気通信事業登録が必要となる可能性があります。

 

上記①~③に該当しない場合は「電気通信事業登録」には該当いたしませんので、あとは「電気通信事業届出」が必要かどうかを確認することになります。

【電気通信事業届出が必要な事業】

登録に該当しない事業のうち、他⼈の通信用のため他⼈の通信を媒介する役務(サービス)を行う事業です。

たとえば、次のような電気通信サービスが該当します。

 

電話転送サービス

 

電話等受付自動代行サービス

 

MVNO(既存移動電気通信事業者のネットワークインフラを利用し、利用者へ独自の移動通信サービスを提供するもの)

 

FVNO(既存固定電気通信事業者のネットワークインフラを利用し、利用者へ独自の固定通信サービスを提供するもの)

 

インターネットを通じて国内の利用者向けに提供する電子メールやチャット等

 

電子メールマガジンの媒介(SMSを利用し送信するものを含む)

 

マッチングサイト/アプリ(出会い系サイトを含む)

 

利用者間メッセージの媒介(アプリ、SaaS)、クローズド・チャット/オンライン会議

 

他社から提供されたコンテンツの媒介(CDNを含む)

 

メールサーバ等のサーバ貸与(レンタルサーバ、VPS3、PaaS)

 

周波数帯域のチャンネル貸し

 

IoT端末から受信するデータの蓄積・通信処理を行うIoTサービスを、情報を加工・編集せずに送信時の宛先に受信者を指定するもの

 

アクセスポイントなどを設置または他者のアクセスポイントを利用し、公衆無線LANサービスを提供することで利益を得るもの

 

オフィスやマンションの管理会社などが料金設定し、提供主体として入居者に提供するインターネット

 

他の企業間の通信ネットワーク運営を、原価を超えた料金を徴収して行うもの(グループ企業などを含む)


上記については、行う電気通信サービスの種類に応じた「ネットワーク構成図」などを用意することで確認ができます。

ネットワーク構成図」とは、電気通信役務(サービス)の卸提供(卸役務を行う事業者(卸元事業者)から、最終利用者までのネットワークの流れを示す図です。

ネットワーク構成図の書き方と、提供する電気通信役務の種類については、下記のアイコンから詳細ページをご覧ください。

詳しくは、「ネットワーク構成図の書き方」についてのページをご覧ください。

電気通信サービスの種類については「提供する電気通信役務の種類とは?」のページをご覧ください。

なお、令和4年6月17日公布の「電気通信事業法の一部を改正する法律(改正電気通信事業法)」により、電気通信事業の登録または届出の必要がない第三号事業者(他人の通信を媒介しない事業者や、その電気通信回線設備の設置を行わない事業者)についても、その取り扱う通信については「検閲の禁止(事業法第3条)」及び「通信の秘密の保護(事業法第4条)」の義務がありますのでご注意ください。

 

 

よしひろまごころ行政書士事務所では、全国対応で電気通信事業の登録や届出に関するお手続きを代行・サポートしています。

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